木津川市パブリックコメント手続条例

第1条 目的
第2条 定義
第3条 対象
第4条 対象の適用除外
第5条 計画等の案の公表
第6条 公表の方法
第7条 意見等の提出
第8条 意見の取扱
第9条 意思決定過程の特例
第10条 実施責任者
第11条 一覧表の作成
第12条 委任

附則

---------------------------------------------------------------------

第1条 目的

この条例は、パブリックコメント手続に関する基本的な必要事項を定め、広く市民生活に関わりのある市の基本的な計画等の形成過程において、その立案段階における考え方や内容を公表し、市民等の行政参画への機会を提供することにより、行政運営における透明性と市民等に対する説明責任を図り、市民参加型の公平公正で開かれた市政の実現を目指すことを目的とする。

解釈
  1. 市のさまざまな計画等のうち、一定範囲のものについては、必ずその意思形成の過程において計画案等を公表し、市民等が意見を提出する機会を確保するとともに、意見に対する応答義務を行政自ら課すことにより、策定しようとする計画等に関しての市の市民等への説明責任を果たし、透明で分かりやすく、公正な行政を目指すものです。
     
  2. こうした意見提出の機会を確保し、提出された意見を十分考慮して市政に反映させることを通じて、市民の市政参加を促進するものです。

 

第2条 定義

この条例において、次の各号に掲げる用語の意義は、当該各号に定めるところによる。

  1. パブリックコメント手続 市の計画等の策定過程において、案の段階で広く公表し、市民等からの意見及び提案(以下「意見等」という。)を求め、その寄せられた意見等に対する市の考え方を明らかにするとともに、寄せられた意見等を考慮して実施機関の意思決定を行う一連の手続をいう。
     
  2. 実施機関 市長、教育委員会、選挙管理委員会、公平委員会、監査委員、農業委員会、固定資産評価審査委員会及び水道事業管理者をいう。
     
  3. 市民等 次に掲げるものをいう。
    1. 市内に住所を有する者
    2. 市内に通勤し、又は通学する者
    3. 市内に事務所又は事業所を有する個人及び法人その他の団体
    4. パブリックコメント手続に係る事案に利害を有する個人及び法人その他の団体
解釈
  1. パブリックコメント手続は、計画等の形成過程における内容を明らかにし、それに対する具体的な意見等を聴くものであり、意見の多数によって意思の決定を行うものではなく、また、賛否を問うものではありません。
     
  2. 実施機関については、この制度を全庁あげて取り組む市の姿勢を明確にするため、例外を最小限度にします。具体的には、木津川市情報公開条例第2条第1号に規定する実施機関から議決機関の議会及び指定管理者を除いたものです。
     
  3. 市民等の範囲に関しては、本市に在住、在勤、在学する者のほかに、本市以外に居住する利害関係を有する者なども広く「市民等」として位置づけ、パブリックコメント手続の対象となる事案に意見提出できるものとします。

 

第3条 対象

実施機関がパブリックコメント手続を実施するものは、次に掲げるものとする。

  1. 次に掲げる条例の制定又は改廃に係る案の策定
    1. 市の基本的な方針又は制度を定める条例
    2. 市民等に義務を課し、又は権利を制限する条例
  2. 市政全体若しくは各行政分野における政策の基本的事項を定める計画又は方針
  3. 前2号に掲げるもののほか、実施機関が必要と認めるもの
解釈
  1. 対象事項は、基本的に市民の生活や事業活動に直接かつ大きな影響を与えるもので、市内全域又は市民等を対象とするものです。
     
  2. パブリックコメント手続は、公の計画等を対象にするものであるため、意見を提出する市民等に対しては、個人的な利害にとらわれず、公益(地域社会全体の利益)の観点からの意見を期待しています。
    したがって、個人間の利害対立が激しいようなテーマや、非常に限定された区域あるいは特定範囲の者のみを対象にするようなテーマは、パブリックコメント手続にはなじみません。行政内部にのみ適用されるものなど、市民等に直接の影響が及ばないものも対象外となります。
     
  3. 「市の基本的な方針又は制度を定める条例」とは、市政の全般にわたって適用される市政運営の基本的方針を定めるものや、各行政分野における施策の基本となる考え方などを定めるものをいいます。
    具体的な例としては、「情報公開条例」、「行政手続条例」、「環境基本条例」「男女共同参画推進条例」などの市政を推進する上での共通の制度がありますが、これらの条例を新しく制定、改廃しようとする場合は対象となります。
     
  4. 「市民等に義務を課し、又は権利を制限する条例」は、市が独自に条例で市民等に義務を課したり、権利を制限する事項を定めている場合や、法令の委任を受けて条例で市民等に義務を課したり、権利を制限する具体的内容を定める場合が該当します。
    具体的な例としては、「自転車駐車場の設置及び管理に関する条例」、「廃棄物の減量及び適正処理等に関する条例」、「あき地の除草等に関する条例」などの条例がありますが、これらの条例を新しく策定、改廃しようとする場合は対象となります。
     
  5. 「市政全体若しくは各行政分野における政策の基本的事項を定める計画又は方針」とは、将来の市の施策の基本方針、基本事項を定める計画や指針などをいい、その名称については基本構想、プラン、方針など特に問いません。
    具体的な例
    「総合計画」、「(仮称)地域福祉計画」、「(仮称)障害者計画」、「高齢者保健福祉計画」、「介護保険事業計画」、「(仮称)子育て支援総合計画」、「地域防災計画」、「緑の基本計画」、「ごみ処理実施計画」、「農業振興基本計画」、「都市計画マスタープラン」などの計画及び方針がありますが、これらの計画等などを新しく策定、改定しようとする場合は対象となります。
    なお、道路(○○市の道路改修、側溝蓋かけなど)、河川(△△川の○○市付近の改修など)、公園(利用対象者が地区に限定される公園の整備)などの個別地域での整備事業については原則として対象外としますが、基本的な考え方が市内全域にわたるもので、市民生活等に大きな影響を与えるものについては対象となります。
     
  6. 「前2号に掲げるもののほか、実施機関が必要と認めるもの」については、広く市民等に適用される規則や条例等があてはまり、特定の者などに対する個別的、具体的な処分は対象となりません。
    具体的な例として、「開発指導要綱」がありますが、これらのものを新しく策定、制定、改定などしようとする場合は対象となります。

 

第4条 対象の適用除外

計画等の策定が次の各号のいずれかに該当するときは、この条例の規定を適用しない。

  1. 緊急を要するもの又は軽微なもの
  2. 実施機関に裁量の余地がないと認められるもの
  3. 法令等により、住民の意見を聴く手続が定められているもの
  4. 納付すべき金銭徴収又は予算の定めるところにより行う金銭給付に関する計画等の策定を行うとき。
  5. 地方自治法(昭和22年法律第67号)第74条第1項の規定による直接請求により議会提出するもの
解釈
  1. 「緊急を要するもの」とは、パブリックコメント手続の実施に伴う所要期間の経過などにより、計画等の効果が損なわれるなどの理由で、パブリックコメント手続を経る余裕がない場合をいいます。
    具体的には、災害など、迅速及び緊急に対応する必要がある場合などに限られます。
     
  2. 「軽微なもの」とは、大幅な改正や基本的な事項の改定を伴わないものをいい、条例であれば単純な文言の改正や法令の改正に伴い、必要とされる文言の整理や技術的読み替えなどを要するものです。
     
  3. 「実施機関に裁量の余地がないと認められるもの」とは、上位法令や国及び府の計画にその内容が詳細に規定されており、その規定に沿った決定をしている場合をいいます。
     
  4. 「法令等により、住民の意見を聴く手続が定められているもの」とは、法令などの規定により公聴会の開催などの実施が義務付けられている場合をいいます。
    また、法令などの規定に基づくことなく、実施機関の裁量で公聴会を実施する場合は、法令などの規定による開催ではないため、パブリックコメント手続を実施する必要があります。
    具体的な例として、都市計画の決定については、都市計画法により都市計画案の作成時に公聴会等を開催すること、また、都市計画案を2週間縦覧し、その案に対し住民から提出された意見書をもとに都市計画審議会で審議することが規定されています。
     
  5. 市税の賦課徴収並びに分担金、使用料及び手数料等の徴収に関する金銭徴収の条項については、対象外となります。
     
  6. 直接請求により提出された条例案に対しては、市長は修正できないので、第5号の規定により、適用除外となります。
     
  7. この規定の安易な適用を避けるため、「1  緊急を要するもの又は軽微なもの」に該当する案件を、適用除外としてパブリックコメント手続を執らない場合は、その理由を公表するとともに、極力事後に市民等の意見を聴くことにより、当該計画等の将来的な見直しの参考といたします。

第5条 計画等の案の公表

  1. 実施機関は、計画等の策定をしようとするときは、計画等の案の最終案を決定するまでの適切な時期に、計画等の案を公表するものとする。
  2. 前項の規定により計画等の案を公表するときは、次に掲げる事項を記載した資料(以下「関連資料」という。)を併せて公表するよう努めるものとする。
    1. 立案の趣旨、目的及び背景
    2. 計画等の案の概要
    3. 審議会等における検討状況の概要
    4. 前3号に掲げるもののほか、必要な資料
解釈
  1. 公表する計画等の案は、案そのものに限らず、その内容を明確に示すものであればよく、事案に応じ、いくつかの案を同時に示すことが有効であるときは、そのような方法でも差し支えありません。
  2. 公表する計画等の案は、基本的な考え方など早い段階で公表するのが適切なもの、中間案を公表するのが適切なものなど、案件により異なるため、実施機関は効果的な公表時期を選び実施するものとします。
  3. 審議会へ諮問されるものは、審議会における審議時期や内容などに十分留意して、実施するものとします
  4. 「必要な資料」とは、計画等の案に係る根拠法令や上位計画、立案に当たり整理した課題とその内容などをいいます。

第6条 公表の方法

  1. 前条の規定により公表する計画等の案及び関連資料は、市のホームページに掲載するとともに、所管部署等で配架し、又は配布するものとする。
  2. 前項に定めるもののほか、必要に応じて、次に掲げる方法を選択して、広く市民等への周知に努めるものとする。
    1. 木津川市広報紙への掲載
    2. 報道機関への発表
    3. 前2号に掲げるもののほか、実施機関が適当と認める方法
解釈
  1. パブリックコメント手続の実施を広く市民等に周知する方法として、第6条第1項に掲げるもの以外に、木津川市広報紙への掲載、報道機関への発表なども必要に応じて行うものとします。
  2. 「所管部署等で配架又は配布」とは、市民等が資料を必ず閲覧又は入手できるよう、所管課、加茂・山城支所、学研企画課及び中央・加茂・山城図書館に備え付けるものとします。
  3. 「その他実施機関が適当と認める方法」とは、案や資料の公表において、視覚障害者等に対しても適切に配慮するものとします。

第7条 意見等の提出

  1. 実施機関は、市民等が意見等を提出するための必要な期間として、公表した日から原則として30日以上の期間を設けるものとする。
  2. 前項に規定する意見等の提出は、次に掲げる方法により行うものとする。
    1. 実施機関が指定する場所への持参
    2. 郵便
    3. 電子メール
    4. ファクシミリ
    5. 前各号に掲げるもののほか、実施機関が認める方法
  3. 意見等の提出をしようとする市民等は、住所、氏名又は団体名、電話番号等を明示するものとする。
解釈
  1. 多くの市民等から意見提出を受けるためには、市民等が意見を提出するための準備期間を十分に取る必要があります。行政運営上の効率性にも考慮する必要がありますが、実施機関は原則として30日以上の意見提出期間を定めるものとします。
  2. 意見等の提出方法については、案の公表時に必ず明示するものとします。
  3. 意見等の提出の「実施機関が指定する場所への持参」とは、基本的には所管課ですが、各実施機関が計画等の内容や意見を提出する市民等を考慮したうえで、祝日を除く閉庁日に開館している図書館などその他の施設を持参場所とすることは可能です。
  4. 「その他実施機関が必要と認める方法」には、宅配便などが含まれます。
  5. 市民等に責任ある意見等の提出を求める趣旨から、原則として住所、氏名又は団体名、電話番号、メールアドレスの掲載を求めるものとします。

なお、匿名による場合は、実施機関の考えは示さないものとします。
また、電話など口頭による意見の申し出については、市民等からの意見の内容が不明確になる恐れがあるため、その場で書面による提出を求めるなど適切に対応するのものとします。
あくまでも、口頭による申し出に固執した場合は、応対者が申し出の内容を取りまとめのうえ、参考意見として受け入れますが、実施機関の考え方は示さないものとします。
身体障害者からの申し出についても適切に処理するものとします。

第8条 意見の取扱い

  1. 実施機関は、前条の規定により提出された意見等を考慮して、最終的な案の策定を行うものとする。
  2. 実施機関は、提出された意見等の内容及びそれに対する市の考え方並びに計画等の案の修正を行った場合は、その内容を公表するものとする。ただし、木津川市情報公開条例(平成19年木津川市条例第7号)第5条各号に規定する不開示情報に該当するものは除く。
  3. 前項の規定による公表については、第6条第1項の規定を準用する。
解釈
  1. 市民等から提出された意見等を考慮して、計画等の最終的な案の策定を行うもので、計画等に対する賛否を問うものではなく、また、賛成、反対の意見の多数によって安易に計画等に意見等を取り入れるものではありません。
    提出された意見等の内容を十分考慮し、計画等に反映させるものとします。
    単に賛否の結論だけを示した意見については、実施機関の考え方は示さないものとします。
     
  2. 提出された意見等を踏まえて、公表した案を修正した場合には、その修正内容及び修正理由を公表するものとします。
     
  3. 市民等から提出された意見等については、原則としてすべて公表対象としますが、原案と関係のない意見、第三者を誹謗中傷するものなどについては公表しません。
     
  4. 市民等から提出された意見等を公表する場合、必ずしも原文そのままを公表する必要はなく、必要に応じて意見の趣旨からはずれないよう要約をし、また複数の同様な意見があった場合はまとめて、各々の意見等に対する実施機関の考え方とともに公表することとします。
    なお、意見を提出した者の一人ひとりに対して、個別には回答しません。
     
  5. 意見等の公表にあたっては、意見等を提出した市民等の住所、氏名、電話番号等個人に関する情報など木津川市情報公開条例第5条に規定する不開示情報に該当するものは公表しません。

第9条 意思決定過程の特例

実施機関は、市の附属機関等が第5条から前条までの規定に準じた手続(以下「条例に準じた手続」という。)を経て策定した答申等の内容に沿って、計画等の策定を行うときは、パブリックコメント手続による手続を行わないことができるものとする。

解釈
  1. 「附属機関等」とは、地方自治法第138条の4第3項の規定により、市長その他の執行機関に設置された附属機関及び規則等により市長その他の執行機関に設置された附属機関に準ずる機関をいいます。
  2. 実施機関が、計画等を策定するにあたり附属機関等に諮問した場合で、附属機関等が条例に準じた手続を行わなかったときは、実施機関は附属機関等の答申後に、改めてパブリックコメント手続を行う必要があります。

第10条 実施責任者

実施機関は、パブリックコメント手続の適正な実施を確保するため、実施責任者を置くものとする。

解釈
  1. パブリックコメント手続は、実際に計画等を策定する所管課が事務手続を行っていきます。
  2. 所管課は、パブリックコメント手続を要する計画等の把握や、パブリックコメント手続の統括担当課である学研企画課との調整などを行い、対象の漏れ落ちをなくし、この条例が有効に機能するような体制を確保します。
  3. 実施責任者は、パブリックコメント手続を実施する所管課長を充てることとします。

第11条 一覧表の作成

  1. 市長は、パブリックコメント手続の実施状況に関する一覧表を作成し、これを市のホームページに掲載して公表するものとする。
  2. 前項の一覧には、次に掲げる事項を掲載するものとする。
    1. 案件名
    2. 案の公表日
    3. 意見の提出期限
    4. 案の入手方法及び問い合わせ先
解釈
  1. 市民が、いつ、どのような案件がパブリックコメント手続の対象となっているかということを容易に知ることができるように、パブリックコメント手続を実施しているもののほか、すでに同手続を終了したものも掲載します。
     
  2. 終了したものの掲載期間は、提出された意見に対する市の考え方や修正内容が公表された月から一年間とします。
     
  3. 一覧を作成し、公表する事務は、パブリックコメント手続の統括担当課である学研企画課が行います。
     

第12条 委任

第12条 この条例に定めるもののほか、パブリックコメント手続の実施に関し必要な事項は、別に定める。

解釈
  1. この要項に定めるもののほか、制度の実施について必要な事項があれば、別に定め、統一のルールで実施していきます。

附則

施行期日

この条例は、平成19年3月12日から施行する。

解釈
  1. 施行日以降に、計画等を策定する場合は、この条例に基づくパブリックコメント手続を実施するものとします。