こんにちは!観光担当のなーこです。

木津川市にある数々のお寺・神社では、新年が明けると各地で沢山の正月行事が実施されます。山城地域にあるお寺「和泉寺(わせんじ)」では、毎年成人の日に「炎祭り」が行われます。炎祭りでの見どころは、大きく燃え上がる柴燈護摩(さいとうごま:野外で行う大規模な護摩法要のこと)はもちろん、何といっても火の上を歩いて渡る「火渡り(ひわたり)」!

しかも、素足で渡りますよ。

今回は、そんな和泉寺の「炎祭り」を取材してきました!

番外編6「炎祭り」(和泉寺)

毎年1月、成人の日に行われる和泉寺の「炎祭り」。お経を唱えながら護摩木を焚き、一年間の無病息災を祈願します。柴燈護摩の後は、残った燃え跡の上に木を橋のようにして組み直し、その上を、願をかけながら約1.2mを素足で渡る「火渡り」が行われます。火渡りが終わると、ぜんざいと焼きみかんのふるまいがあります。

柴燈護摩の前に、ご住職と、宗教行事等を行う団体である相楽講(そうらくこう=行者さん)による神事が執り行われます。
まずは法斧、法剣、法弓の作法を行い、結界の邪を祓う儀式を行います。
その後護摩木へ点火し、柴燈護摩が始まります。

護摩木を焚いた際の火と煙の様子が、龍が絡むように舞って天へ登っていく姿に見ることができたら、最高だそうです。

いかがでしょうか!晴天に煙がぐんぐん登っていきます。龍は見えますか?

巫女さんによる和太鼓の音とお経、そして大きく燃え上がる火の様子は圧巻です。
和太鼓の音は、「赤子が母親の胎内にいた頃に聞いていた母親の心臓の鼓動と周波数が近い」と言われており、迫力がありながらもどこか安心感を感じられます。
「火、お経の声、音、そしてお正月のスカっとした晴れやかさを感じてほしい。太陽の力である火に心をゆだね、安心を得ていただきたい」と語るのはご住職の奥様。
心に響く太鼓の音、そして大きく燃え上がる火に、身体全体がじんわりと暖まります。

さて、柴燈護摩の後は、火渡りの準備に入ります。

護摩木を橋のように組み直し、その上を渡れるように火伏(ひぶせ:火を伏せる状態にすること)を行います。この火伏の作法ができる方は少なく、全国的にも火渡り自体が減っている中、和泉寺では40年以上この行事を続けています。

さあ、準備が完了しました。写真上部に写っている「ふき流し」は行事が行われている事を示すもの。大きくはためく様子は、これから始まる火渡りを応援してくれているようです。

参拝に来られている方が続々と火渡りに挑みます。
私も火渡りに挑戦!

いざ目の前にすると不安になってしまいますが、渡る前にご住職に背中をえいっと押していただくと身が入り、「火に入ろう!」という気持ちになれました。

足をのせると、足裏にピリッとした熱を感じます。一歩二歩と進むと、足がじんわりと温かく、足元から暖まりほぐれるような感覚がありました。火から降りた後は、砂利石がほどよく熱を冷ましてくれます。しっかり渡りきって、今年も元気に過ごせそうです!

火渡りの後は、ぜんざいと焼きみかんが振る舞われます。
昔から小豆は、「分け合う」時に食べるものでした。
ぜんざいや赤飯の形で小豆を皆で分けて食べることで、幸福と厄を分け合います。
このぜんざいに使われているお餅は、お正月に和泉寺にお供えされた重ね餅。お供えのおさがりのお餅は、もちろん福がたっぷりです。
ちなみに、この重ね餅を腐らせることなく炎祭り当日まで柔らかさを維持できたのは、山城町に伝わるとある技術に秘密がありました。

ねり辛子を置くだけでお餅が綺麗なまま長期保存できるってご存知でしたか?当日お手伝いに来られていた檀家さんが、町のおばあ様から教えていただいた技術だそうです。
さらに、ビニール袋をかぶせてしっかり縛り、空気を抜いて密閉することで三か月程度はお餅が綺麗に保存できるそうです。
山城町の地元の技術が、このおいしいぜんざいを実現させていたんですね。
福と厄を分け合うぜんざいは、身体と心がほっとするような美味しさ。そして、炭火で焼かれた焼きみかんはとっても甘くて、どちらもすごくおいしかったです!

昔からずっと人のそばにある「火」。そのパワーを全身で浴びることができました。ご住職に背中を押してもらい、一歩ずつ踏みしめながら歩いた火渡りが、明日の自信につながります。

毎年成人の日に和泉寺で行われる「炎祭り」。火の迫力を浴び、そして美味しいぜんざいを食べに、ぜひ訪れてみてください。

おまけ

なーこのスケッチ

和泉寺(わせんじ)

住所:木津川市山城町平尾上垣内34
電話:0774-86-3334
駐車場:なし 「炎祭り」当日は和泉寺周辺に臨時駐車場あり。

※上図は、和泉寺の所在をGoogleが提供する機能で表示したものです。