木津川市にいこいこ!!観光担当のゆこです。
今回は山城地域のJR棚倉駅前にある涌出宮という神社で9月末に行われた「饗応(アーエー)の相撲」という、豊作を祈願する行事を見学してきました。
(番外編のため、インタビューはありません。)
涌出宮は通称名で、正式には和伎座天乃夫岐賣神社(わきにますあめのふきめじんじゃ)になります。
和伎(わき)という字には、分かれ道のある場所という意味があります。奈良から京もしくは伊勢方面へ向かう際の分岐点になるのが、涌出宮のあたりになり、道標があります。

番外編4「饗応の相撲」(涌出宮)

涌出宮の創建は今から1250年余り昔、天平神護2年(766年)に、称徳天皇がこの地に遷座しました。

御祭神は、天乃夫岐売命(あめのふきめのみこと)、田凝姫命(たごりひめのみこと)、市杵嶋姫命(いちきしまひめのみこと)、湍津姫命(たきつひめのみこと)が祀られています。
天乃夫岐売命は天照大神の御魂(みたま)であるといわれています。
涌出宮に関係する宮座は与力座、古川座、歩射(びしゃ)座、尾崎座、大座(おおざ)、殿屋座(とのやざ)、岡之座、中村座の八座あります。
この宮座は、神社の祭祀(さいし)に携わる村落内の特権的な組織のことです。

この涌出宮では、昭和61年(1986年)に、国から重要無形民俗文化財に指定された4つの宮座行事があります。


2月に行われるいごもり祭、春の彼岸の中日に行われる女座(おなござ)の祭、今回レポートする饗応の相撲と10月に行われる百味御食(ひゃくみのおんじき)です。
いごもり祭は、昭和58年(1983年)に京都府の無形民俗文化財の第一号に指定されています。

今回見学させていただいた饗応の相撲は、4つの宮座行事のうちの一つ。
饗応の相撲は、涌出宮に関する8つの宮座の内の、大座(おおざ)・殿屋座(とのやざ)・岡之座(おかのざ)・中村座(なかむらざ)の4つの座が、それぞれ代表の男児を出し、神前相撲をして豊作祈願をする行事です。

まずは、「四座衆なおらい(神様と座長老が会食すること)」をします。そこで満腹になったころを見計って、「そろそろ相撲を始めましょう。」と相互で話し合います。
次に、各座より一名が行事人となり素抱(すほう)を着用し、扇子を持ちます。

そして、相撲を取る子供に赤白のまわしを付けます。
まわしを付けた子供たちは少し緊張してるようでした。

行事人と相撲を取る子供たちが祈願します。

次に、相撲の儀式に移ります。
この相撲の取り組みには、行い方が次のように決まっています。

そして、いよいよ相撲を取ります。

見合って!のこった!

写真の真剣勝負は、3回目の勝負の様子。
相撲は3回取ります。1回目と2回目は相互に1回ずつ勝ち、負けます。
結果が決められているため、1・2回目は軽く押し合う程度ですが、3回目は真剣です。
どちらにも勝ってほしいので、二人とも頑張って!と応援してました。
まわりの大人も子ども達の白熱した試合を見ていると、応援に力が入ります。

この一連の相撲をを天神社と本社の前で繰り返します。

 天神社

 本社

この前は石畳になっているため、斜め前に土俵があります。

この二人の相撲は勝負がなかなかつかず、とても盛り上がりました。
勝負終了後は、大きな拍手で子どもたちの名勝負を称えました。

みんなで記念撮影です。
どの取り組みも良い勝負で、とても見ごたえがあり相撲をとった子どもたちも「とても楽しかった。」と言っていました。
これで今年も豊作ですね。

なーこのスケッチ

涌出宮
住所:木津川市山城町平尾里屋敷54
電話:0774-86-2639

※上図は涌出宮をGoogleが提供する機能で表示したものです。