こんにちは!観光担当のなーこです。

木津川市にある国宝や重要文化財の数は、京都府下で京都市に次いで2番目に多いってご存知でしたか?
木津川市には6つの国宝があり、そのうちの一つに、浄瑠璃寺の「九体阿弥陀仏」があります。
この九体阿弥陀仏は、平成30年度から毎年2体ずつ修理を行っており(令和2年度は中尊1体)、先月、修理中だった阿弥陀如来坐像の搬入出作業があったので、観光担当なーこが見学に行かせていただきました!

今回はその様子をレポートします。(番外編のため、インタビューはありません。)

番外編1「九体阿弥陀如来坐像」搬入出レポート(浄瑠璃寺)

阿弥陀如来とは、極楽浄土におられる仏さまのことです。
平安時代後期から、阿弥陀如来がおられる西方極楽浄土にあこがれる信仰「浄土信仰」が広まりました。
「極楽浄土への往生(生まれ変わり)には、現世での行い・心掛けの違いなどの差で九種類の段階に分かれる」という考え方(=九品)から、九品を象徴する阿弥陀如来坐像を祀ったものが九体阿弥陀如来坐像です。文字のとおり、阿弥陀如来坐像が九体並んでいます。
当時は九体阿弥陀如来坐像は三十余例を数えましたが、現存するのは浄瑠璃寺のみで、大変貴重なものになります。
また、九体阿弥陀如来坐像のすべての修理が終わり、九体全部が本堂に揃うのは来年末の予定です。

さて、前置きが長くなってしまいましたが、今回は修理が終わった九体阿弥陀如来坐像の搬入と、修理をするための搬出の様子を見学するために浄瑠璃寺を訪問させていただきました!

浄瑠璃寺の本堂に到着すると、台座を運んでいるところでした。

木でできた台の上にはシートが二重に敷いてあり、その上に台座を置いて、上のシートを引っ張ることで移動させます。

慎重に移動させた後は六人がかりで台座をゆっくり床におろします。
次に、光背を設置します。台座の後ろに即座に足場を組んで光背を設置した後は、台座を運んだ要領で阿弥陀如来坐像を台の上のシートを使って滑らせて、台座の上に安置します。

本堂の中には大きな柱が一定の間隔であるため、仏像などは柱の間を通り、安置されます。
絶対に柱にあてないようにしなければならないため、移動の際は細かく声掛けをして慎重に運びます。
無事に安置した後は、九体の見た目をあわせるために絶妙な指示で配置を決定していきます。
絶対に仏像を傷つけず、手際よく確実に設置していくプロの仕事に驚きです。

九体阿弥陀如来坐像は順番に修理に出されるため、九体すべてが揃うのはまだ先になるのですが、この日は搬入と搬出が同時で行われたため、搬入作業から搬出作業にうつる少しの間、九体が揃う瞬間がありました!

すべて揃うと圧巻です!それぞれの阿弥陀様の存在感がぐっと空間を引き締めます。九体が揃ったのもつかの間、一体が修理のために搬入と逆の手順で搬出されていきました。

九体が揃った様子と、プロの仕事を見ることができて、素晴らしい経験になりました!
特別な場の見学を許可してくださった浄瑠璃寺さん、本当にありがとうございました。

浄瑠璃寺には、九体阿弥陀如来坐像含めて4つの国宝があります。
境内全体で極楽浄土を表現する浄瑠璃寺。ぜひ「この世」と「あの世」の世界観を感じに訪れてくださいね。

浄瑠璃寺

拝観時間:3月~11月9:00~17:00(受付は16:30まで)・12月~2月10:00~16:00(受付は15:30まで)
拝観料:400円
アクセス:JR加茂駅東口→かもバス当尾線(※毎日運航)「浄瑠璃寺前」下車すぐ
駐車場:無し(民間のパーキングを利用)
住所:木津川市加茂町西小札場40
電話:0774-76-2390

※上図は浄瑠璃寺の所在地をGoogleが提供する機能で表示したものです。